良いプレゼン 悪いプレゼン
わかりやすいプレゼンテーションのために
- 著者 後藤文彦
- 判型 A5判、136頁
- 本体価格 1,600円
- ISBN 978-4-87783-214-8
本書について
プレゼンというのは、プレゼンテーション(要は、人前で発表すること)の日本人的なカタカナ略語であるが、大学で、学生の発表などを聞いていると、単にしゃべるのが苦手だとかいう次元の問題ではなくて、わざわざわかりにくい「悪い見本」のようなものを練習してまで習得したような形跡を感じさせられることが多々ある。「ああ、あのパターンか」と。もちろん、私自身も学生時代は、そういう「悪い見本」を「正統な」やり方だと習得しようとしていたこともあるので、学生たちがあのパターンに適応してしまう理由は、ある程度、想像できるし共感できる部分もある。おそらく、小学校から始まる国語教育、毎日のテレビで聞かされるニュース報道、お店の人が話すマニュアル敬語、などなど、そういう様々なところから、あのわかりにくい話し方が「正式」なんだと思わせるようなバイアスがかけられつつ、我々は育ってきたんだと思う。さいわい、私の大学院時代の指導教員の一人は、堅苦しくないわかりやすい話し方をよしとする人だったので、それに共鳴した私は、その基本思想を更に独自に(曲解して)押し進め、あの「悪い見本」と正反対に位置するわかりやすさに特化したパターンをここでは「良い見本」として呈示し、普及させたいのである。
目 次
- 良いプレゼンと悪いプレゼン
- 自分が理解している内容を自分の言葉で
- 「事実」と「意見」
- 話し言葉と書き言葉
- 最も見習ってはいけない悪い例の典型はNHKのニュース
- 「渡る世間は鬼ばかり」の会話が不自然なわけ
- どんなに表情豊かでも書き言葉はしょせん書き言葉
- 書き言葉の呪縛から自由になろう
- 「書き言葉で話す」?
- 「正しい日本語」って何?
- そもそも「正しい」って何?
- どんな構成がいいか?
- 1分1枚
- 原稿は作らない
- 20文字以上(2行以上)の文章は避ける
- やたらとアニメ機能を使わない
- スライドシートを発表原稿代わりにしてはダメ
- 耳で聞いてわかりにくい漢字熟語や略語は避ける
- なんでもかんでも文章で説明しようとしない
- 式や記号やグラフの書き方
- 色や文字飾りの使い方
- 文字だけのスライドシート
- リンクを張る
- スライド方式以外のプレゼン
- 大きい声で
- 「ああー」「ええと」「まあ」は入れていい
- レーザーポインターよりは指し棒
- どこに立つか
- 配布資料はあった方がいいか
- 質問の答えかた
- 質問のしかた
- 国際会議での発表の場合
- どんな服装がいいか?
- マニュアル敬語
- なぜ人は教条主義的になるのか
- まとめ