表紙画像

良いプレゼン 悪いプレゼン
わかりやすいプレゼンテーションのために

本書について

 プレゼンというのは、プレゼンテーション(要は、人前で発表すること)の日本人的なカタカナ略語であるが、大学で、学生の発表などを聞いていると、単にしゃべるのが苦手だとかいう次元の問題ではなくて、わざわざわかりにくい「悪い見本」のようなものを練習してまで習得したような形跡を感じさせられることが多々ある。「ああ、あのパターンか」と。もちろん、私自身も学生時代は、そういう「悪い見本」を「正統な」やり方だと習得しようとしていたこともあるので、学生たちがあのパターンに適応してしまう理由は、ある程度、想像できるし共感できる部分もある。おそらく、小学校から始まる国語教育、毎日のテレビで聞かされるニュース報道、お店の人が話すマニュアル敬語、などなど、そういう様々なところから、あのわかりにくい話し方が「正式」なんだと思わせるようなバイアスがかけられつつ、我々は育ってきたんだと思う。さいわい、私の大学院時代の指導教員の一人は、堅苦しくないわかりやすい話し方をよしとする人だったので、それに共鳴した私は、その基本思想を更に独自に(曲解して)押し進め、あの「悪い見本」と正反対に位置するわかりやすさに特化したパターンをここでは「良い見本」として呈示し、普及させたいのである。

目 次