X3Dは、Web上に仮想世界を思いのまま自分で創ることを可能にする技術なのです。従来のCGといえば、専用のCGソフト(一般に有料)を用いて制作することが一般的であり、しかもWeb上で動かすことはできませんでした。しかし、X3Dでは、自ら記述したX3DソースコードをWebサイトにアップすれば、無料で提供されているX3Dビューア(閲覧ソフト)を用いて、Web上で誰もがそのX3D作品を閲覧することができるのです。 VRMLやX3Dは、JavaやC/C++のようなプログラミング言語ではありません。3次元景観やビヘイビア等を文書形式で記述するタグ言語なので、簡単に修得することができます。「現在のSLも根幹技術は、X3Dの母体であるVRMLにその源流がある」といっても過言ではないと思います。3DCGを学びたい方は、是非この国際標準のX3Dを学ばれることをお勧め致します。
本書は、口絵・目次等を含めると450ページを越える大部(第1章から第6章、および付録から構成)です。しかし、口絵に紹介した仮想世界の静的な景観は、第2章と第3章(3.3.3項は除く)を読むだけで、基本的に制作可能です。筆者のゼミナール生もそのように学んできました。従って、すべて読み終えてから作業に入るのではなく、上記以外の章や節は必要に応じて読むというやり方で、まずは実際に制作して楽しむのが良いかと思います。本文に掲載したソースコードを制作過程で良く読んで頂ければ、自然と内容全般が理解できるはずです。CD-ROMに収録されている口絵の作品のX3Dソースコードも、同じく収録されているX3DビューアであるFlux Playerを用いて実際に動かしてみて楽しんで下さい。(本書のソースコードは、Windows XPとWindows Vistaのもとで、Flux Playerを用いて実行テストを行っています)。付録Aでは自作の仮想世界を立体視(ステレオ)で閲覧する方法を紹介しているので、バーチャル・リアリティの入り口を楽しく体験することもできます。