ブロックで学ぶ
中学入試算数・中学からの数学
著者 | 名塩 隆史(聖光学院中・高等学校教諭) |
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判型 | B5変型、296頁 |
ISBN | 978-4-87783-458-6 |
価格 | 本体2,400円 |
発行日 | 2019年 5月25日(初版第1刷) |
本書について
本書は、小学校の算数で学ぶ数の計算法、および中学入試問題で出題される様々な考え方、そしてその背景あるいは延長上にある中学高校数学について解説したものです。
本書のテーマの一つは、ブロックを用いて数や式、そして概念をイメージでとらえる「可視化」にあります。そもそも算数文章題の〇〇算は、タイプに応じて様々な図の使い方をします。ブロックで表そうとすることによって、各手法の共通点と相違点が明確になります。また、抽象的な概念であるはずの数に色や形を与えることで、数式の意味をイメージとして把握することができ、さらに具体的に手を動かして考えることができるようになります。このように、数式をブロックで可視化することで説明がしやすくなり、概念や手法を「ストーリー」として頭に印象づけることが容易になるものと期待できます。
もう一つは「近似」という視点です。算数の問題ではこれまで「1つの答えを求める」かつ「きれいに答えが出る」問題を取り上げることがもっぱらでした。しかし現実の問題に応用しようとすると、例えばくねくね曲がった領域の面積や立体の体積は、その曲線や曲面が特殊なものでない限り、中学高校で教わる数学をもってしてでも正確に計算することができません。しかしブロックで近似して求めるのでよければ小学生の知識でも十分求めることができます。
また、今後のプログラミング教育導入を見据え、ロボットなどの先進教材を用いた学びの役に立つ算数や数学の概念も紹介しています。
目次
- 第1章 数をブロックで表現する
- 1.1 ブロックの種類と呼び方・本書で必要なブロックの数
- 1.2 直線状に並べたブロックで数を表す
- 1.3 長方形状に並べたブロックで数を表す
- 1.4 わり算の2つの意味と表現
- 1.5 様々なサイズのブロックを「1」として数を表す
- 1.6 複数の色のブロックで数を表す
- 第2章 分数をブロックで表現する
- 2.1 分数のブロックでの表現と分数のたし算
- 2.2 分数のかけ算
- 2.3 分数のわり算
- 第3章 小数・割合・比をブロックで表現する
- 3.1 小数の表現と計算
- 3.2 有限小数と循環小数
- 3.3 同種類の量の割合
- 3.4 異なる種類の量の割合・単位量あたりの大きさ(1あたり量)
- 3.5 比の概念
- 第4章 未知の数量をブロックで表現する
- 4.1 未知の数量をブロックで表す
- 4.2 算数文章題入門1〜和差算・分配算・年齢算・倍数算
- 4.3 算数文章題入門2〜消去算(方程式入門)
- 4.4 算数文章題入門3〜割合と比に関する問題・相当算
- 第5章 面積をブロックで表現する
- 5.1 かけ算と面積図
- 5.2 かけ算の筆算の原理と分配法則
- 5.3 算数文章題4〜つるかめ算・過不足算
- 5.4 平均の考え方
- 5.5 算数文章題5〜塩水算(つるかめ算+平均)
- 5.6 算数文章題6〜ニュートン算
- 5.7 円の面積の近似
- 5.8 平方完成
- 5.9 ピタゴラスの定理と平方根
- 第6章 移動をブロックで表現する1〜速さが一定の移動
- 6.1 速さ・時間・移動距離
- 6.2 算数文章題7〜旅人算・流水算・仕事算・相対速度
- 6.3 移動の変化を表すグラフを活用する
- 6.4 負(マイナス)の数と計算法
- 第7章 素数をブロックで表現する
- 7.1 約数と倍数・素因数分解
- 7.2 最大公約数と最小公倍数
- 7.3 指数法則・約数の個数と総和
- 7.4 巨大な数を近似・推定する(フェルミ推定)
- 7.5 無理数の証明と互除法
- 第8章 物をブロックで表現する〜算数・数学での実験と数列の発見
- 8.1 ハノイの塔〜漸化式・数学的帰納法
- 8.2 タイルの敷き詰め問題
- 8.3 数列の和の公式
- 第9章 人や物をブロックで表現する〜組合せを数える
- 9.1 数えることの定義と順列
- 9.2 同じものを区別して並べる
- 9.3 組合せの総数
- 9.4 特殊な数え方〜円順列・重複組合せ
- 9.5 パスカルの三角形とフラクタル図形
- 第10章 空間をブロックで表現する
- 10.1 空間内の位置の把握〜座標・立方体の見取り図
- 10.2 ブロックで作られたモデルと空間座標の対応
- 10.3 2次元の図から3次元の様子をイメージする
- 10.4 立方体の切断面の作図とブロックでの表現
- 10.5 三角錐・円錐・球の体積の近似
- 10.6 球体の作成と体積の近似
- 第11章 移動をブロックで表現する2〜速さが変化する場合
- 11.1 時間と瞬間の関係性
- 11.2 等速の移動と速さが変化していく移動の違い
- 11.3 移動距離→移動の速さ(微分の考え方)
- 11.4 移動の速さ→移動距離(積分の考え方)
- 第12章 つながりの様子を探る〜グラフ理論入門
- 付録A 練習問題・応用問題・研究問題の解答
- 付録B レゴ®シリアスプレイ®メソッドと学校での実践について
- B.1 レゴ®シリアスプレイ®の基本のプロセス
- B.2 メタファーとしてのレゴ®ブロック
- B.3 モデルどうしの関係性と統合
- B.4 モデルどうしのコネクションとシステムの作成
- B.5 学校現場での実践例
- B.6 教科を横断する学びとしてのレゴ®シリアスプレイ®メソッド