強力かつ簡潔、表現力と可読性、学習にもプロの開発にも最適。これが現在のObject Pascalの端的な特徴です。
Object Pascalは多面的な言語です。伝統的な手続き型プログラミングスタイルのサポートを維持しながら、オブジェクト指向プログラミングのパワー、ジェネリックプログラミングの強力なサポート、属性などといった動的な構文要素を併せ持っています。モバイル時代に対応したコンパイラと開発環境を備えた多才なツールであり、過去からの確固たるルーツを持ちながらも、将来にも対応した言語なのです。
現在使用されているObject Pascal言語の中核は、1995年の定義に由来します。Object PascalのルーツはPascalの前身に遡りますが、その進化は1995年で止まることはありませんでした。現在もコア機能の改良は続けられ、エンバカデロ・テクノロジーズによってデスクトップコンパイラとモバイルコンパイラが作成され、Delphi、RAD Studioで使用することができます。
この言語の役割の変化、長年にわたる拡張、そして今日新しい開発者からも注目を集めているという事実を考えると、現在のObject Pascal言語について網羅した本を書くことは重要であると考えました。そのゴールは、新たな開発者や他の似たような言語から移行した開発者だけでなく、この言語の最新の変更点について学習しようとしているさまざまなPascal系言語の古くからの開発者も対象とした、言語マニュアルを提供することです。
Object Pascalはここ数年、停滞どころか非常に速いペースで進化しています。そこで本書では、この言語がどのように進化してきたかではなく、トピックごとに、現在のこの言語がどのように機能するか、最も良い使用方法は何かについて説明します。この言語を過去に使用したことがあっても、最後の数章だけでなく、本書全体にざっと目を通し、新しい機能を確認することをお勧めします。
本書では、まず中核的な概念を説明し、そのすぐ後に読者が実行したり、試してみたくなるような簡単なサンプルデモを示し、概念の理解と習得につなげることを基本的な考え方としています。本書はリファレンスマニュアルではありません。この言語が理論上なすべきことについて説明し、考えられる状況をすべて示します。正確であることを心がけていますが、言語について説明すること、実践的で段階的なガイドを提供することによりフォーカスしています。