チューリングマシン 説明できますか?
- 著者 坂井久司
- 判型 A5判、208頁
- 本体価格 2,400円
- ISBN 978-4-87783-327-5
2013年9月10日 初版第1刷発行
本書について
本書はITの歴史書である。できる限り源流まで遡りその歴史を追ってみた。紀元前数千年から使われているアバカスやギリシアの賢人アリストテレスの論理学から今日のWebに至るまでに、各時代でITを大きく前進させた巨人達が何を考え、どのような背景の中で業績を残したかを中心にまとめた。本書はIT業界の関係者やコンピュータを専攻する学生のみならず、広く一般の方に読んでいただくことも想定している。今日ではほとんどの人が日常生活の中でITに関わっているからだ。ビジネスマンであれば、IT予算の決裁や導入するITの要件を検討しなければならないから、その一般的な効用について理解しておく必要がある。また、一般の人々はパソコンやスマートフォンを使って日常的にWebの情報空間にアクセスしている。普段接しているものの歴史を知っておくことは知的刺激以上に価値があることだろう。所々数式や技術の解説があるが高校数学レベルの知識があれは十分に理解できると思う。できれば読み飛ばさずにクイズでも解くつもりで記述を追ってほしい(もちろんコンピュータを専攻している学生の皆さんには赤子の手をひねるようなものだと思うが)。そのほうがITの巨人達の考えが具体的にわかるだろう。
目 次
- 序 章
- コンピュータ誕生まで
- コンピュータが生まれてからインターネット普及までの歴史
- インターネット普及後から今日まで、そして今後
- 第一章 数値計算機の歴史
- 計算と道具
- ネイピアの計算棒からシッカルト
- パスカリーヌから手廻し計算機まで
- コンピュータの父とIBMの祖先
- 時代背景
- コンピュータの父
- 統計計算機と計算機ビジネス
- 第二章 推論の計算機
- アリストテレスの論理学
- コンピュータに接近した巨人
- 論理学の代数化
- 論理機械の試み
- 数学基礎論の展開
- 第三章 コンピュータ誕生
- 机上のコンピュータ
- アラン・チューリング
- チューリングマシン
- 万能チューリングマシン
- ブール代数の機械化と二進計算
- ブール代数を用いた回路設計
- 複雑な回路の簡素化
- 二進計算への応用
- “初めて”のコンピュータ
- ENIAC
- フリップフロップ回路
- EDVAC
- 第四章 実用の時代
- 商用コンピュータの普及
- IBMのSystem/360
- バッチ処理からオンラインシステムへ
- EDPから情報システムへ
- 経営へのコンピュータ利用
- データ処理から情報システムへ
- 情報システムの流行
- 変曲点
- 市場の飽和
- 第五章 知的道具の研究
- 人工知能の歴史
- 機械は思考できるか
- 脳神経の解明
- ダートマス会議とその後
- 人工知能批判と人工知能論争
- 人工知能研究の実用的成果
- 知的生産性を向上させる道具
- 道具としてのパソコンに至るまで
- ARPAの成果
- パソコンの夜明け
- ハッカーの存在
- Altoに至るまで
- ジョブズとゲイツ
- 第六章 我々は情報社会に入ったのか
- Webの発明
- Webへ至るまで
- Webの普及
- セマンティックWebへ
- Webが促した社会変化
- 情報と物理媒体の分離
- ウィキノミクス
- 情報そのものを求める社会
- 情報化は脱情報化を促す