Processing プログラミング入門
Java ベースのオープンソース統合開発環境
- 著者 田原 淳一郎
- 判型 B5変型, 280頁,
- 本体価格 3,000円
- ISBN 978-4-87783-247-6
本書について
ProcessingはCasey ReasとBenjamin FryがMITメディアラボで開発した言語です。特徴的なのはJavaをベースにしたこと、そして使いやすいIDE(統合開発環境)を含んで開発されたことです。これはインストールが簡単で初心者に優しい言語となりました。昔のPCには必ず入っていたBASIC言語(N-BASIC)の現代版とも言われます(言語的にはProcessingのほうがはるかに優れています)。そのため、ちょっとしたプログラム、特にグラフィックが簡単に描けるため、ユーザー数を増やしていきました。その後2005年ごろバージョンが1.0となり言語的な完成を見ました。
ProcessingはJavaをベースとした言語です。近年ではアーティストが映像・サウンド表現に使う例が増えており、メディアアートに便利な言語としての側面が強くアピールされています。そのためか情報の入手状況もアーティストよりの言語としての紹介が多いのが現状です。そのため日本ではAdobe FlashのAction Scriptのような言語と誤解されているのが現実です。
しかし、Proceesingは図やサウンドを使うためだけの言語ではありません。実はJavaを初心者に使いやすくした言語で、現代PC環境(マルチタスク、マルチスレッド、USB、カメラ、ネットワーク、OpenGLなど)に簡単にアクセスする手法を提案した言語と言えます。
本書は、Processingを使うのが初めてという人向けに書かれています。
本書の目的は、Processingを利用して簡単にマルチメディアアプリケーションを作れることと、上級レベルへの橋渡しです。
読者のレベルは、簡単なHTMLやC言語などのプログラムリストを入力できる人を対象としています。
目 次
- 第1章 Processingを始める
- 1.1 Processingとはなにか
- 1.2 Processingのインストール
- 1.3 Processingプログラミングの基礎
- 第2章 2Dグラフィック
- 2.1 2D図形
- 2.2 color型
- 2.3 画像の保存と読み込み
- 2.4 文字を描く
- 2.5 図形の移動と回転
- 第3章 アニメーションと3Dグラフィック
- 第4章 イベント処理——マウスとキーボード
- 4.1 マウスイベント
- 4.2 キーボードイベント
- 第5章 いろいろなアプリケーション
- 5.1 JavaアプレットとJava実行ファイル
- 5.2 ネットワークを使う
- 5.3 QRコードを作る——Google APIの利用
- 5.4 ファイルチューザ
- 第6章 ライブラリを使う(1)——マルチメディア
- 6.1 PDFファイルの出力
- 6.2 OpenGLを使ってみる
- 6.3 音を鳴らす
- 6.4 ビデオの表示
- 第7章 ライブラリを使う(2)——ネットワークとシリアル通信
- 7.1 ネットワークを使ってみる
- 7.2 シリアル通信
- 第8章 標準以外のライブラリを使う
- 8.1 controlP5ライブラリでGUIする
- 8.2 QRコードを読む 165
- 8.3 アプリケーションを作る
- 第9章 Processingと外部機器の接続
- 9.1 Wiiリモコンを使ってみる
- 9.2 ProcessingとArduino
- 第10章 Processingを拡張する
- 10.1 ネットワークによるラッピング
- 10.2 Wiiヌンチャクを使ってみる
本書のソースコード
本書掲載のスケッチやソースコード、関連のソースコードなどがダウンロードできます。
ダウンロード(ZIPアーカイブ,12.7MG)
「ControlP5」のインストールに関する質問と回答
- Q1.
- 「ControlP5」のインストールに関する質問(p150、8.1.1ライブラリのインストール)
- Processingのバージョンが新しい1.5.1の場合作成されるフォルダー名がバージョン1.2.1と異なっています。
- 「libraries」、「reference」と言うフォルダが有りません。どのようにコピー(インストール)すれば良いのでしょうか。
- A1.
- まず,執筆時点でProcessing1.5.1はでていませんでした.この辺はご容赦ください.
- またProcessing1.5.1よりライブラリー管理の考え方が違うようになっています.
- 1.5.1からProcessing内の「libraries」、「reference」と言うフォルダは廃止されました.
つまり,P152~154は不要になりました.
- かんたんにいうと標準ライブラリはProcessing側で管理,拡張ライブラリは自分のスケッチのフォルダーで管理という考え方です.やり方を具体的に説明します.
- 1)controlP5.zipをダウンロードし展開します.
- 2)controlP5フォルダー内のcontrolP5.jarを確認します.
- 3)スケッチを作成し保存します.
- 4)IDEからSketch->Show Sketch Folderを選択するとスケッチがあるフォルダーが開きます(直接エクスプローラでスケッチのあるフォルダーを開いてもOK).
- 5)そこにlibraresフォルダーを作成します.
- 6)5)で作成したフォルダーの中に2)のcontrolP5.jarをコピーします.
- 7)IDEのSketch->add File..を選択し,librares以下のcontrolP5.jarを選択します.
- 8)するとスケッチのあるフォルダーにCODEというフォルダーが作成され,その中にcontrolP5.jarがはいっています
- 9)コンパイル
- でうまくいくと思います.
- この手法うに変わってから,標準以外のライブラリーを含んだスケッチを他人に配るときなどはスケッチのフォルダーごとコピーすればいいことになります.