COBOL2002解説 |
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編者 | COBOLコンソーシアム |
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判型 | B5変型判,224頁 |
本体価格 4,000円 | |
ISBN | 978-4-87783-059-5 C3004 |
「COBOLはもう時代遅れだ」という言葉をよく耳にしますが、ある調査によると世界のプログラマの数は、多い順にCOBOLが約300万人、Visual Basicが約160万人、CとC++言語が約110万人です。
このCOBOL言語は、現在アメリカCOBOL標準化委員会(NCITS/J4)で原案最終草案(FCD)の作成が進められて大なる変貌を目指しています。
本書では、第4次COBOL規格(COBOL2002)に関して、機能概要を新規機能項目ごとに紹介しています。また、COBOL2002の新規追加項目には、全体で約150の追加変更が行われていますが、この追加項目についても、例を示し平易に解説しています。
2000年9月18日にCOBOL生誕40周年記念セミナーが東京で開催されました。その企画段階では集客が心配されましたが、申込み数は予想以上であっという間に300人の定員が満員となり、多くの方々に入場をお断りしました。そこでの講演やパネルディスカッションおよび懇親会での議論でCOBOLが相変わらず世界で一番使われており、今後の発展を期待している人々がたくさんいることを、参加者全員が再認識しました。
このCOBOLへの熱い期待に後押しされて、セミナー開催に協賛したCOBOLベンダー7社が設立したのが、本書を編集した"COBOLコンソーシアム"です。COBOLコンソーシアムの主な活動は、ホームページとセミナーによるCOBOLに関する事例や技術動向の情報提供です。セミナーは年2回開催され、その案内と内容は「日経ソフトウェア」、「日経オープンシステム」、「日経コンピュータ」(日経BP社)に毎回紹介されています。
本書の目的はCOBOL新規格を紹介することであり、COBOLコンソーシアム基礎技術分科会の各社の委員が分担して執筆しました。最初のCOBOL規格は1968年に制定され、1974年と1985年に改訂されました。それぞれは、第1次規格(COBOL 68)、第2次規格(COBOL 74)、第3次規格(COBOL 85)と呼ばれています。最新の第4次規格(COBOL 2002)の作成作業は、1992年に世界各国のCOBOL標準化委員会の協力で開始され、本書の執筆者のうち5人も参加しています。10年間にわたる仕様開発と厳密なレビューを経て、情報技術国際標準機構であるISO/ITC JTC1における最終投票が、2002年6月から開始予定です。承認は確実視されているので、2002年末には国際規格(IS)およびアメリカ規格(ANSI)として制定見込みで、日本工業規格(JIS)の改訂作業は2003年に行われます。
第4次規格の制定方針は、貴重で甚大なCOBOL資産(人、ノウハウ、プログラム)を21世紀になっても安心して維持し・活用しつづけるため、次の2つとしました。
新技術の代表的なものは、オブジェクト指向機能とマルチオクテット文字を扱う国際化機能です。これらの仕様開発には日本が貢献しています。
本書は、第4次規格を紹介した世界で最初の解説書で、第4次規格の200近い追加・変更項目の中から主要なものを紹介しています。また、第4次規格のCOBOL文法の一般形式をすべて示すとともに、第3次規格との相違を明記しました。
読者が本書を読んで、今後のCOBOLがどうなっていくかの概要を把握いただき、21世紀もCOBOLがプログラム言語の世界で主流でありつづけることを確信いただければ、本書発行の目的を果たしたことになります。
最後に本書執筆にあたり、技術資料提供やレビューいただいたCOBOLコンソーシアム会員各社の関係者、COBOLセミナーを主催していただいている日経BP社、および本書出版に尽力いただいたカットシステムの石塚勝敏氏に深く感謝します。
2002年6月 COBOLコンソーシアム
謝辞 | |
はじめに | |
第1章 | 概要 |
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1.1 | COBOLの特徴と標準化 |
1.2 | 第4次規格(COBOL2002) |
1.3 | 本書利用時の注意事項 |
第2章 | 漢字などのマルチオクテット文字と国際化機能 |
2.1 | 国際化、他国語対応 |
2.2 | 漢字などのマルチオクテット文字機能 |
2.3 | 自由形式の正書法 |
第3章 | 新データ型の追加 |
3.1 | ブーリアン型データ機能 |
3.2 | 浮動小数点型データ機能 |
3.3 | ポインタ型データとアドレス付け機能 |
第4章 | 利用者定義のデータおよび関数機能 |
4.1 | 利用者定義のデータ型機能 |
4.2 | 利用者定義の関数機能 |
第5章 | オブジェクト指向機能 |
5.1 | クラスとオブジェクト |
5.2 | 継承と多態 |
5.3 | オブジェクト参照 |
5.4 | メソッド |
5.5 | オブジェクトプロパティ |
5.6 | リポジトリ |
5.7 | 例外オブジェクトによる例外処理 |
5.8 | その他のオブジェクト指向機能 |
第6章 | 例外割り込み処理機能COBOL2002 |
6.1 | 例外割り込み処理機能の概要 |
6.2 | 例外名 |
6.3 | TURNコンパイル指示 |
6.4 | 例外割り込み処理機能の手続き部 |
第7章 | データの妥当性検査機能 |
7.1 | 妥当性検査機能の概要 |
7.2 | 妥当性検査機能のデータ部 |
7.3 | VALIDATE文 |
第8章 | 画面処理機能 |
8.1 | 画面の概念 |
8.2 | 画面処理機能の環境部 |
8.3 | 画面処理機能のデータ部 |
8.4 | 画面記述項 |
8.5 | 画面処理機能の手続き部 |
第9章 | コンパイラ指示機能 |
9.1 | DEFINE指示 |
9.2 | EVALUATE指示 |
9.3 | IF指示 |
9.4 | FLAG85指示 |
9.5 | SOURCE FORMAT指示 |
9.6 | FLAG-NATIVE-ARITHMETIC指示 |
9.7 | PROPAGATE指示 |
9.8 | PAGE指示 |
9.9 | TURN指示 |
9.10 | LEAP-SECOND指示 |
9.11 | 条件コンパイルの例 |
第10章 | 言語間連絡の拡張 |
10.1 | 連絡機能の拡張 |
10.2 | 他言語間連絡の拡張 |
第11章 | その他の追加機能 |
11.1 | テーブルソート機能 |
11.2 | ファイルの共用と排他制御の機能 |
11.3 | 標準算術演算と31桁への拡張 |
11.4 | 構造化プログラミング機能の拡張 |
付録A | COBOL2002一般形式一覧 |
付録B | COBOL2002組込み関数一覧 |
さくいん |